推理作家ポー 最後の5日間
史上初の推理作家vsポーに魅せられた小説模倣犯
(2012/10/09)

舞台は1849年アメリカ、ボルティモア。
闇夜を切り裂く悲鳴とともに、凄惨な殺人事件が発生した。現場に急行したエメット・フィールズ刑事(ルーク・エヴァンス)が目にしたものは、血まみれの母娘の死体だった。母親は絞殺のあとで首はかき切られ、娘は暖炉の煙突の中に逆さ吊りとなっていた。最初は完全密室殺人に思えた状況だったが、窓枠には巧妙なバネ仕掛けが施してあり、そのトリックも殺害方法も、ある高名な作家の著作に酷似していた。

エドガー・アラン・ポー。彼が数年前に出版し、世を震撼させた推理小説「モルグ街の殺人」。
その頃、ポー(ジョン・キューザック)は、地元の酒場で騒ぎを起こし、店から放り出されたところだった。酒におぼれ、その晩の酒代すらも他人にたかるような状態になっていたのだ。店を追い出され、町を徘徊していたポーは、愛する恋人エミリー(アリス・イヴ)の乗る馬車を止めるが、同乗していた彼女の父親チャールズ・ハミルトン大尉(ブレンダン・グリーソン)はポーを軽蔑し、娘の傍に近寄らないように迫ってきた。
ポーは自分が文芸評論を書いている地元の新聞社パトリオットに赴くが、マドックス編集長(ケヴィン・マクナリー)と、最近の仕事や行動に関して咎められ口論となって出て行ってしまう。その夜、家にいたポーを訪ねてきたのはエミリーだった。彼女は、自分の誕生日を祝い上流社会の錚々たる面々を招待して開く仮面舞踏会で、ポーに正式にプロポーズして欲しいと告げるのだった。多くの招待客の前だったら、きっと父親も結婚を許してくれるのでないかという想いだった。

その頃、もう1つの殺人が起きていた。ポーの天敵で文芸評論家のグリズウォルドが、木の台座に磔となり、徐々に下がってくる巨大な刃の振り子によって胴体を真っ二つに切り裂かれたのだ。これも、ポーの「落とし穴と振り子」になぞらえた殺害方法であった。
ポーは上流社会の女性たちの社交場で自身の詩「大鴉」の朗読をしていた。出席者から金銭的支援を得ることが目的だったのだが、その朗読会は警察により途中で中止されてしまう。ポーの小説を模倣した猟奇殺人の捜査に協力するようフィールズから要請を受けたたからだ。
連続殺人鬼は、第2の殺人現場に次の殺人のヒントを残していた。現場に残した仮面の裏に「仮面舞踏会に死がやってくる」という紙片を残していたのだ。それは、もちろんハミルトン大尉が娘の誕生日に開く仮面舞踏会のことだ。フィールズとポーはハミルトン大尉の屋敷を訪れ、パーティーを中止するように求めるが彼はそれを聞き入れない。
仮面舞踏会当日、華やかなドレスに身を包んだエミリーの美しさは招待客の眼を惹いていた。ポーもまた、彼女の美しさに心を奪われていた。
舞踏会には、フィールズと多数の部下たちが潜んで目を光らせていた。時計が、深夜12時を指そうとしていたその時、髑髏の仮面を付けた死装束の騎士が乱入してきた。それは、まさにポーの「赤き死の仮面」になぞらえたように。突然の侵入者に騒然とする招待客と身構える警察。だが、その混乱に乗じてエミリーは忽然と姿を消してしまうのだった。
死装束の男は、金をもらって雇われた男で、殺人鬼ではなかった。そして、その手には、新たなメッセージがしたためてあった。それはポーへの"挑戦状"だった。「ポーが新聞にこの連続殺人の偉業を書いて載せるのなら、今後の殺人ではそれぞれの犠牲者が出るたびに、エミリーの居所のヒントを与える」というのだ。愛する恋人を救うためには、ポーは殺人鬼の言う通り、新聞に原稿を書くしかなかった。

ポーに"挑戦状"をつきつけた模倣殺人犯の目的は何なのか?すべては、ポーの書いた小説と殺人現場に残されたトリックや犯人からのメッセージを読み解くしかないのだ…。



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