金色の翼
[第56話]
絹子(高嶺ふぶき)と槙(高杉瑞穂)が玻留(倉貫牛O)を取り押さえるなか、セツ(剣幸)は修子(国分佐智子)09/22放送
が発見したロケットを見ている。修子はとっさに槙たちからロケットを隠した。
絹子が玻留を連れて行くと、槙が遺影を片付けようと傍によるが、セツは片づけを断り、槙を退出させる。修子はセツに説明を求めるが、セツは答えず、ロケットを帰してほしいと修子に頼む。
そこへ理生(肘井美佳)が来た。奥寺(黒田アーサー)が襲撃されたというのだ。
奥寺は槙の兄・壇に襲われたと言い、セツに客がケガをした責任を迫ってくる。セツと共に部屋に戻った理生は奥寺の態度に憤慨するが、そんな理生に「本当に怖いのは幽霊ではなく生きている人間だ」と話す。
修子は杉浦(佐々木勝彦)に亡くなった娘さんの写真を見せてもらう。ロケットの写真は杉浦の娘だった。
槙は奥寺の会社の乗っ取り状況を説明し、資金の追加を求める。修子は槙を自室に誘うと、セツと組むのを辞めるよう勧める。そして、渡す金を自分のものにするように話す。もし、修子が遺産を遺族に返し、一人の女として人生を行きぬく覚悟があるなら、何があってもお前を守る、お金も要求しないと、槙は修子を説得するが、修子は聞き入れない。そこへ玻留が入ってくる。玻留は自分が姉を守ると宣言して出て行く。
夜になって、セツが修子の部屋を訪れる。「なぜ槙の兄のロケットをもっているのか」と修子が尋ねると「自分が槙の兄を殺した」とセツは告白する。「島を守るためにそれを隠し続けた」とも言った。そして、迫田の赤い封筒とロケットを交換したいとセツは言う。
しかし、秘密を守るためにお互いの弱みを握り続けることを修子は提案し、セツも了承する。修子はセツの秘密を槙に話さないように言うが、槙は兄の死について薄々気づいている様だと話した。
その頃、槙は絹子と会っていた。迫田が突き落とした犯人は壇だと証言したと告げる。槙は迫田の証言が信じられなかった。ガレージでセツと会い、迫田に兄が犯人だと言わせたのかと迫るとセツは迫田との取引を認めた。そして、ついに槙の兄・壇が死んだ5年前の出来事をセツは話し始めたのだ。
5年目、逃亡中の壇が島に現れた。壇はセツの夫が壇と恋人の間を引き裂いたと勘違いしてやってきたが、それは勘違いだとセツが説明すると、壇は包丁を持って恋人の後を追った。慌てて止めに入ったセツと壇はもみ合いになり、セツに突き飛ばされた拍子に壇は頭を打ち死んでしまった――告白を終わったセツのそばに修子が立っていた。
セツは壇のロケットを渡すように促した…。
槙は2人でグルになって自分を騙したのかと問いただすが、修子は自分が悪いのだと槙に話す。セツは否定するが、「お前だけは絶対許さない!」と槙は修子に掴みかかった。「気の済むようにすればいい…」修子の言葉に槙は修子を離し、外へ飛び出していった。
海辺で立ち尽くす槙のところに理生が来た。「なぜセツが島を売るのか心当たりはないか」と、理生は槙に尋ねる。すると槙は「島を出ることにした自分のせいだ」と理生に答えるのだった。理生の伯母が槙の兄を殺した真実を告げずに、槙は理生を気遣ってそう答えたのだ。そうとも知らず悲しみを堪えて立ち去る理生。
理生が立ち去った後、修子がやってきた。槙は、絹子が壇の死を知れば、迫田の嘘がばれてしまい、迫田が真犯人を喋るだろうから、早く島を出ろと修子に伝える。驚く修子に「あんたを守るといった自分に嘘をつきたくないだけだ」と言って立ち去る。
深夜、迫田の部屋を槙は訪れる。迫田に兄の死を話し、絹子に真犯人を証言させられる前に自分と手を組むよう話をする。しかし、突然、迫田は立ち上がり槙を突き飛ばして立ち上がった。迫田は「修子とグルになって俺を始末するつもりだろう」と言う。迫田は、修子が「日ノ原が愛したセニョーラではない」と槙に言い放つ。セニョーラには幼い頃に負った、羽を広げたようなやけどの痕があると…。
その頃、修子はセツに、槙と理生のためにも島から逃げるように伝えていた。あるはずのやけどの痕がないと言われ、槙はぼうぜんとする。
修子の自室に迫田からの内線電話がかかった…。
数日後、ホテル恒例の月見会が行われた。修子はセツに逃亡の手順を確認する。しかし、杉浦がセツに耳打ちをすると、セツは月見会を中断、客たちにホテルの閉鎖を述べるとサロンを出て行った。
セツが向かったアトリエでは絹子がサボテンの箱庭を壊そうとしていた。箱庭の下には地下のカーヴにつながる扉があるはずだと絹子は言う。理生、槙、修子が駆けつけるが絹子は作業を止めない。セツは5年前、カーヴに壇の遺体を隠したことを思い出していた。絹子は「自首してほしい」と告げてその場を出て行く。周子は「逃げるなら今だ」とセツに呟くが、セツは断り、カーヴに壇が眠っていることを皆に打ち明ける…。
朝になり警察の捜査が始まった。そんななか、迫田が姿を消す。修子の仕業だと気づいた槙は「迫田とグルで、日ノ原の未亡人ではないのか」と問い詰める。すると、奥寺が「その通りだ」と口を挟んできた。「修子は奥寺夫人になるのだから」と…。
修子の後を追う槙は、メイドの入れ替わりなのかと修子を問い詰める。修子は相手にしないが、槙がセニョールのやけどの痕の件を話すと寝室に逃げ込んだ。扉の前で「お前が誰でもいい。守りたい」と叫ぶ槙。そこへ玻留がやってくる。槙は、自分は何も分かってなかったと玻留に話す。すると「あんたに分かるか」と玻留は言う。
理生が槙を訪ねて来た。そしてセツのことを詫びる。セツから自由に生きていいと言われた理生。飛行機の模型を手にして、槙と自由を夢見ていた頃が一番幸せだったと告げ、涙を流して出て行った。
理生が去った後、彼女が手にした模型を槙は見つめるが、ふと違和感を覚える。
絹子は「日ノ原が事故を起こしたのは白い飛行機だ」と言っていたが、修子は「銀色の翼に細工をした」と話していたのを思い出したのだ…。
修子が誰かを庇うとすれば…それは玻留しかいない。槙は、玻留が酒に酔って風呂に溺れたとき、太ももの裏にやけどの痕を見たことを思い出した…。
その頃、玻留はシャワーを浴びながら奥寺を罵っていた。修子が迫田をやったことを知っている。修子は自分がもらう。そう奥寺は玻留に言ったのだ。「奥寺をぶっ殺す」そう言う玻留の太ももには翼のようなやけどが広がっていた。
翌日、岬で槙は修子から真相を聞いていた。
修子は日ノ原を愛していたし、日ノ原の愛を信じていた。それなのに日ノ原は玻留を愛人にしたのだ。玻留は修子の幸せを守るために自分を犠牲にして黙っていたのだ。それを知った修子は離婚を求めると、日ノ原は修子に暴力を振るうようになった。それでも離婚を求めると、日ノ原は、修子が知らないうちに修子と離婚をして玻留を養子にすることを決める。それを知った玻留が日ノ原の乗った飛行機に細工をして、日ノ原は死んだのだ。迫田の事件も修子を守ろうとした玻留の犯行だった…。
なぜ玻留はそこまで修子を守るのかと槙は尋ねる。自分も修子を守りたいと…。
修子は槙に告白する。幼い頃に両親を失った頃、唯一の肉親である玻留と抱き合って眠った。それが成長してからも変わらず、ごく自然にお互いを慰めあってしまい、愛し過ぎてしまったとも。お互いを縛る鎖から逃れようとお互いに苦しんだが、玻留は抜け出せなかった。そんな玻留の罪は私の罪であり、玻留を裁くならまず私を裁いてほしいと…。
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キャスト
日ノ原修子 / 国分佐智子(こくぶさちこ)28歳。日系ブラジル人の大富豪の夫を亡くし300億ドルもの遺産を一人で相続した未亡人。中傷を逃れるように「海と空のホテル」を訪れる。
このことが原因で修子に言い寄って来る者、未亡人である修子の手助けをしたいと名乗り出てくる者は多いが、その誰もが300億ドルという莫大な財産を狙っている。
修子自身もこのことには気付いているのだが、島で出会ったホテルの使用人・槙に引かれて親しくなるが激しい運命のなか2人の関係は次第に壊れいってしまう…。
早くに両親を失い、自らが育ててきた弟・玻留がいる。
吉岡槙 / 高杉瑞穂(たかすぎみずほ)
28歳。絶壁に囲まれたリゾートランドにあるホテル「海と空のホテル」で使用人として働く男。学生時代にはパイロットになる夢を抱いて目指していたが、挫折をしてどん底を味わう。その後、ホテルのオーナー・セツに救われ、ホテルで働くようになる。
そんな槙の目の前に莫大な財産を手にした修子が現れたことで、槙もその財産を狙うことになるが…。
水谷理生 / 肘井美佳(ひじいみか)
25歳。吉岡槙の恋人だが、セツには2人の仲を認めてもらえず別の縁談話を用意されている。断りたいところだが、別居中の父のことで恩義があるセツを裏切れない。セツの姪で若くして「海と空のホテル」のオーナー代行をしている。槙からの提案で、理生も修子の財産を手に入れるための手伝いをすることになる。槙と一緒になることを夢見ているが…。
奥寺麻人 / 黒田アーサー(くろだあーさー)
40歳。祖父から受け継いだ「奥寺商事」を継いで「奥寺インターナショナル」と改名。「ナノテク」「通信事業」など様々な事業に幅広く手を広げ、世界に進出しようとしている。資金調達に苦労している企業社長で「海と空のホテル」の常連客である。
理生に求婚する予定だったが、突如現れた修子の資産と容貌に引かれるが、ホテルのオーナーであるセツに「奥寺の会社の証券を義理の弟に譲る」と脅され、理生と偽装婚約をするのであった。
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