人気漫画「軍鶏」をめぐる漫画家vs原作者の権利争い!!
(06/30)

漫画界が揺れている。

つい先日、小学館と「金色のガッシュ!!」の作者である雷句誠さんの確執が報じられたばかりだが、また新たなバトルが勃発したのである。

雷句さんの場合は、「漫画家vs編集者(および出版社)」という図式だったが、今回は「漫画家vs原作者」。

講談社の青年漫画誌「イブニング」に連載され映画化された人気漫画「軍鶏(しゃも)」をめぐり、漫画家と原作者が著作権を争っている。

この争いは東京地裁で訴訟になっている状態だ。

原告の漫画家、たなか亜希夫さんは、「軍鶏」は原作者の橋本以蔵さんの作品ではなく、「ストーリーも人物設定もすべて自分が作り上げた」と主張している。

どういうことかというと、要は「橋本さんは原作者としての仕事をまっとうしていないではないか!?」との怒りの声なわけだ。

たなかさんによると、「橋本さんは連載当初に大ざっぱなあらすじが書かれた原稿しか出しておらず、ストーリーやキャラクター設定、せりふなどすべて自分が行った」としており、「軍鶏は自分が単独で創作した作品」と考えているのだ。

こうした経緯から、原作者の橋本以蔵さんを相手取り、作品の著作権者がたなかさんであることの確認や単行本の著作権料約1億5000万円の支払いなどを求めている。

実は、漫画業界でこうした著作権トラブルは意外と多く見かける光景である。

ただ、ここまでの訴訟に発展するのは珍しいのだ。水面下で解決することが多いのである。

ちなみに、訴訟で争ったケースとしては、人気少女漫画「キャンディ・キャンディ」で、原作者が絵に対する著作権があると訴え、最高裁は「漫画はストーリーに基づく二次的著作物」と認定し、原作者にも絵の著作権を認めているケースなどが挙げられる。

いずれにせよ、出版業界というのは昔ながらの「あいまい契約」の社会なので、そこに属する漫画家にも契約書を交わす慣習が少なく、原作者と漫画家の仕事の分担もあいまいという環境面での問題がずっと以前からとり立たされてきた。

漫画家や原作者の主張はよくわかるし、出版社側からしても「参っちゃったなあ」というのが本音だろう。

しかし、契約をあいまいにするという習慣をずっとひっぱり続けてきた出版社側にも問題はあるという見方が大半だ。

こういうケースが頻繁に目立つようになったからには、漫画を扱う出版社や編集部は契約という考え方を見直さねばならないのではなかろうか。

「軍鶏」のように、突然の休載に陥り、誰が悲しむかといえば、ほかならぬ愛読者だからだ。(古田鉄寿)



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