薔薇のない花屋
[第11話]
舜(玉山鉄二)の態度に激怒した安西院長(三浦友和)は、舜を病院から追い出してしまう。結局、辰巳(尾藤イサオ)の執刀は安西院長(三浦友和)が行うことになる。しかし、手の震えは難易度の高いオペには致命的だった。美桜(竹内結子)は英治に電話で助けを求める。美桜の叫びを聞いた英治は、旅立とうとしていた舜を阻み、手術をするように説得する。03/24放送
舜は英治が果たせそうにない条件を押し付けて去ろうとする。その条件とは――雫に自分が本当の父親でないことを告白したら、病院に戻るというものだった。舜の言葉を聞いた英治は悩みながらも雫に電話をかけ、自分が本当の父親でないことを告白してしまう。
その様子を見た舜はオペ室に戻る。ところが辰巳の容態は急変し心配停止状態に陥ってしまう。舜は、オペ室の外にいる美桜をオペ室内に引っ張ってくると「辰巳を呼び戻ぜ」と命ずる。「まだ近くにいる!もっと叫べ、呼び戻せ!」と。美桜は横たわる辰巳に向かって「死なないで、わたしを一人にしないで!」と何度も叫ぶ。すると辰巳の心臓が再び鼓動を刻み始めた。舜の完璧なオペを行い、辰巳の手術は無事に成功する。
それからしばらくして、英治は安西の自宅に呼ばれる。安西は、今までのことを謝罪して花屋を再開する資金援助をすることを申し出る。また、雫を英治に返すことを告げた。しかし英治は、今や雫が安西にとって“かけがえのない孫”という存在になっていることを知っていた。
英治は安西に「瑠璃(本仮屋ユイカ)さんのような素晴らしい女性に育ててほしい」とお願いする。さらに、「花屋の資金は、友人から借りたので大丈夫です」と、資金の援助も辞退した。「自分は娘のために何もしてあげていない」と安西は英治に言うが、「お父さんからたくさんの愛情をもらった。自分は愛情いっぱいに育ったから怖いものは何もない。瑠璃さんはよく、わたしに話してくれました」と英治は安西に話す。その言葉を聞いた安西は目を細めて、瑠璃と雫の写真を眺めるのだった。
英治は昔のように花屋を始める。花屋には、バラの花も置くようになった。雫との絆もさらに深まり、以前のように定期的に会っていた。
花屋を勤しむかたわら美桜を探す英治だったが、なかなか見つけることができないでいた。しかし、ふとしたことから、バラの花を納めてくれている「平田バラ園」が、辰巳と見桜が経営している農園であることに英治は気づく。
英治は雫と一緒に美桜に会いに出かけた。そして、ビニールハウスのなかで作業をしている美桜に、「愛しています」と告白をするのだった。
あれから、どのくらい年月が過ぎただろう。英治と美桜は一緒に花屋を営んでいた。そこに、一輪のバラを持った少年が訪れる。その少年は昔、英治がマスターと一緒にネグレストの親から救い出した“名もなき戦士”だった。「困ったことがあったら、バラの花を一輪持っていつでも訪ねて来てほしい」そう言って別れた少年が、今、英治の前にいた。
「今すぐに、君にひとつだけ言ってあげられることがある。――それでも、人生は素晴らしい」
少年は英治に深々と頭を下げた。英治は少年から一輪のバラを受け取ると、少年を店の奥に招きいれる。二人の様子を、美桜は温かい目で見守っていた。 《終》
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キャスト
汐見英治 / 香取慎吾(かとりしんご)困った人を見ると放っては置けない性格の持ち主。つい、人の世話を焼いてしまう。最愛の妻の忘れ形見である一人娘・雫を心から愛している。妻が花を好きだったから、必死で働いて小さな花屋を始める。
白戸美桜 / 竹内結子(たけうちゆうこ)
自分にハンデがあるようには思えない明るさと歯に衣を着せない自由奔放な性格。盲目の美女だ。幼い頃に視力を失っている。
小野優貴 / 釈由美子(しゃくゆみこ)
汐見英治(香取信吾)の一人娘・汐見雫のクラス担任。仕事熱心で児童心理学も専門だ。雫を見守っている。28歳。
工藤直哉 / 松田翔太(まつだしょうた)
妊娠した彼女のために勤め先のホストクラブの金に手を付ける不祥事を起こす。汐見英治(香取慎吾)の家の居候。21歳。
彼女 / 本仮屋ユイカ(もとかりやゆいか)
汐見雫 / 八木優希(やぎゆうき)
四条健吾 / 寺島進(てらじますすむ)
神山舜 / 玉山鉄二(たまやまてつじ)
安西輝夫 / 三浦友和(みうらともかず)
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