不毛地帯
[第1話]
10/15放送

――昭和26年10月ソビエト連邦共和国シベリア・ラゾ地区。氷点下45度の極寒の流刑地は「一度送られたら生きて帰れない」とい言われる強制労働の地だ。

第二次大戦中で、軍の最高統帥機関・大本営の参謀として作戦立案を行っていた壹岐正(唐沢寿明)は、このラゾで囚人として強制労働をさせられていた。氷点下45度の中、1日12時間の重労働。多くの日本人がこの地で息絶えた。

陸軍士官学校を首席で卒業し、第二次大戦中は軍の最高統帥機関である大本営の参謀として作戦立案にあたっていた壹岐が、なぜ満州で捕まったのか。それは日ソ中立条約を破って侵攻してきたソ連軍に対する徹底抗戦を主張する関東軍を説得するためだった。関東軍は終戦を受け入れようとしなかった。そこで壱岐自らが停戦命令書を携えて満州に向かったのだが、そこでソ連兵に捕まったのだ。

劣悪な環境の中で壱岐を支えたのは、ただ一つの信念。「自分には果たさなければならないことがある」それだけだった。11年にも及ぶシベリアでの抑留の末、壱岐は生きて日本へと帰る。しかし、多くの日本人捕虜がこの地で死んだ…。

――日本に帰還して2年。
壱岐は栄養失調の体の回復と部下たちの就職の世話に専念して過ごした。その間、壱岐の妻・佳子(和久井映見)が働きに出て家計を支えていた。

ある日、士官学校時代からの親友・川又(柳葉敏郎)が訪ねてきた。川又は防衛庁の空将補だ。川又は、国を守るために軍に戻ってきてほしいと防衛庁への再就職を誘うが、壹岐は、自分が関わった作戦で兵士や民間人を死なせてしまったという責任から、「もう国防には携わらない」と川又の誘いを断る。佳子も、長女の直子(多部未華子)も、軍以外の仕事に就いてほしいと願っていたからだ。

部下たちの就職が決まった壱岐は、近畿商事への就職を考える。かねてから自宅へ誘いの手紙が届いていたからだ。近畿商事は繊維をメインに取り扱う商社だったが、今後の日本の経済発展を見込んで航空産業などへの発展をもくろんでいた。

ある日、壱岐は近畿商事・社長の大門(原田芳雄)を訪ねる。壱岐は、「軍人時代のコネや肩書きを一切利用しないこと」という条件を提示すると、大門は「私がほしいのは、あなたの能力です」と説得され、壱岐は近畿商事への就職を決意する。

父の民間企業への就職が決まったことを、直子はとても喜んでいた。

ある日、壹岐の家に「秋津千里(小雪)」から手紙が届いた。千里の父・秋津紀武(中村敦夫)は、シベリア抑留中にソ連側の証人として東京裁判に出廷させられようとしたときに、自ら命を絶って証言を拒否した人物だ。秋津の自害で焦ったソ連軍は、壱岐たちも自害することを恐れ、東京裁判で日本人に証言させることを諦めたのだった。証人になることを拒否した壱岐たちはソ連の軍法会議にかけられ、シベリアの強制収容所へと送られたのだった。それから11年、常に死と隣り合わせの日が続いたのだ。

秋津の家が京都にあると知った壱岐は遺影に手を合わせるために京都の秋津家を訪ねる。千里の両親は亡くなっていて、軍人だった兄・清輝(佐々木蔵之介)は戦争で多勢の部下を死なせてしまった責任をとって仏門へと入り、山にこもって修行を続けていた。

近畿商事の仕事は畑違いで、壱岐はとても苦労する。壱岐自身も悩むが努力をした。そんなある日、大門社長は壱岐を東京支社へと連れていく。東京支社には航空機部があった。社長は壱岐を東京支社社長・里井(岸部一徳)に紹介する。

その夜、大門と里井は2人で酒を飲んでいた。里井は防衛庁の空幕中枢部とパイプを持つ壹岐の力が必要だと大門を説得する。この頃、国内で航空機を扱う商社は、防衛庁の主力戦闘機の受注をめぐって、激しい駆け引きを行っていたのだ。

航空機部を置く近畿商事東京支社の支社長・里井達也(岸部一徳)は、劣勢を跳ね返すための切り札として、川又ら防衛庁の空幕中枢部と強いパイプを持つ壹岐が必要だと大門に進言する。

翌日、壱岐は東京支社の鉄鋼部を訪れる。そこで陸軍士官学校出身の兵頭(竹野内豊)と出会う。その晩、壱岐は兵頭に誘われて、クラブ『ル・ボア』へと飲みにいく。そこで兵頭は壱岐に力になってほしいと言うのだった。

近畿商事でやりたい仕事を実現させるために壹岐が必要だったと、壱岐との出会いを兵頭は喜んだ。『ル・ボア』でピアノの弾き語りをしていた紅子(天海祐希)は、演奏を終えると兵頭のもとへやってくる。紅子は『ル・ボア』を経営者の娘だ。堅物の壱岐に、紅子は興味を持ったようだった。

壹岐が大阪本社の繊維部に戻ると、大門社長からアメリカへの出張を命じられる。アメリカの近畿商事で「お披露目パーティがあるから同行するように」と言われたのだ。

昼休み、会社に千里が訪ねて来た。千里は兄・清輝から、日中戦争について父が書いた回想録を託されたので、壱岐を頼ってきたのだ。遺棄は「戦史室に知り合いがいる」と回顧録を預かる。さらに千里は、「父のお参りにきてくれたお礼」といって、自作の青磁の花器を壹岐に渡した。

大門のお供をしてアメリカに渡った壹岐。そこでニューヨーク支店繊維部の海部(梶原善)と一緒に「お披露目パーティ」へ出席する。そこで「パーティも大切な情報収集の場」だということを知る。

別の日にはロサンゼルス支店の塙(袴田吉彦)と一緒にラッキード社を訪ねた。そこでアメリカの空軍機を見て壱岐は驚いた。さすが元軍人。軍用機についてはとても詳しい。説明担当のアメリカ人に質問を浴びせると、その構造に興味を示した。

しかし、テスト・フライトを見にコントロールタワーに向かったところで、壱岐の顔色が変わる。そこには川又たち防衛庁の調査団が来ていたのだ。壱岐は大門の思惑を察する。

その夜、壹岐と大門はロサンゼルスの日本料亭にいた。壹岐は大門に、今回の出張は、最初から川又と自分を会わせるために仕組んだのではないかと質問するが、大門は「偶然だ」とはぐらかした。

そこに川又がやってきて、主力戦闘機の受注の話題となる。川又は、最有力候補はテスト・フライトでも優れた結果を出した近畿商事の押す「ラッキードF104」だが、このままでは、東京商事の押すグラント商社が製造する「スーパードラゴン」に決まる、と言った。

東京商事の航空機部部長・鮫島(遠藤憲一)は、防衛庁で権力を誇る官房長・貝塚(段田安則)を引きこみ、関係者にも金をばらまいているのだというのだ。川又は壱岐に「力を貸してほしい」とお願いする。
「戦闘機は政治家の利権のためではなく、国を守るためにあるべきだ」川又の主張は正しいが…。壹岐はもう二度と軍とは関わらないと心に決めていた。「それだけはできない」そう言うと、壱岐は退席してしまう。

後を追いかけてきた川又は、「国を守り、2度と同じ過ちを犯さないためにもラッキードF104が必要だ」と主張した。

壱岐は考えた。

帰国後、壱岐は社長室を訪ねる。そして、航空機部への異動を願い出た。こうして壱岐の商社マンとしての人生が始まる。それは、どんなことをしても生き抜かなければならない熾烈な戦いだった――。

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10/15 第1話

キャスト
壹岐正 / 唐沢寿明(からさわとしあき)
1912年生まれ。陸軍大学校を首席で卒業したエリート軍人である。
第二次大戦中は、軍の最高統帥機関だった大本営の参謀として作戦立案をしていた。
終戦を受け入れない関東軍を説得するため、停戦命令書を携えて満州に向かう先でソ連軍に拘束された。
その後軍事裁判で強制労働25年の刑を宣告、シベリア極北の流刑地ラゾに送られた。
11年間に及ぶ強制労働に耐え昭和31年に帰国。
帰国後近畿商事に入社。
兵頭信一良 / 竹野内豊(たけのうちゆたか)
近畿商事東京支社鉄鋼部勤務。
陸軍士官学校の壹岐の後輩にあたる。
近畿商事の将来を世界的な視点でとらえている。
商社の世界に戸惑う壹岐の、良き理解者となる。
壹岐佳子 / 和久井映見(わくいえみ)
壹岐正の妻。
壹岐の陸軍大学校時代の担当教官であった坂野の娘である。
壹岐のシベリア抑留中は女手ひとつで二人の子供を育てた。
大阪府庁で働いている。
壹岐直子 / 多部未華子(たべみかこ)
壹岐の娘。
佳子の苦労を目の当たりにしてきたため、壹岐に二度と戦争には関わらないでほしい、と懇願した。
父の商社就職を心から喜んでいる。
川又伊佐雄 / 柳葉敏郎(やなぎばとしろう)
防衛庁の空将補で、噂によると次期空幕長らしい。
自衛隊のあり方に疑問を抱いているので、自分が空幕長になって、自衛隊を国民に認められるものに変えたいと考えている。
壹岐とは陸軍士官学校時代からの同期で、親友。壹岐がシベリアに抑留されている間は佳子に仕事を紹介するなど、壹岐家を支えた。

貝塚道生 / 段田安則(だんたやすのり)
防衛庁官房長。
警察出身の元内務省役員。鮫島と手を結び、防衛庁の次期主力戦闘機にグラント社のスーパードラゴンを採用するよう総理派に働きかけている。
芦田国雄 / 古田新太(ふるたあらた)
川又の部下。防衛部の防衛課計画班長。
小出とは防衛庁空幕時代の同僚である。
金と女に目がないが、気の弱い臆病な男。
谷川正治 / 橋爪功(はしづめいさお)
満州関東軍の幕僚。
壹岐ともどもシベリアに送還。
帰国後は、シベリア帰還者と遺族のための組織「朔風会」運営。
竹村勝 / 中丸新将(なかまるしんしょう)

秋津紀武 / 中村敦夫(なかむらあつお)
大陸鉄道司令官、中将。
壹岐とはシベリア抑留中にハバロフスクで再会した。
極東軍事裁判に、ソ連側の証人として出廷することを強要され、一度はそれを受け入れた。

秋津精輝 / 佐々木蔵之介(ささきくらのすけ)
秋津中将の息子で、千里の兄。
フィリピンで終戦を迎えた。多くの部下を死なせてしまったことに大きな責任を感じ、仏門に入って厳しい修業をしている。
秋津千里 / 小雪(こゆき)
大陸鉄道司令官・秋津中将の娘。
京都に住んでいる。夢は陶芸家である。
壹岐に「父の最期について話を聞かせてほしい」と手紙を送る。
亡き父の面影を感じさせる壹岐に心を惹かれる。
久松清蔵 / 伊東四朗(いとうしろう)
経済企画庁長官。
国防会議のメンバー。国防会議では防衛庁の次期主力戦闘機を決定する。
壹岐とは、戦時中に早期和平工作について議論しあった仲で、旧知の間柄である。
政界や官僚とのつながりがとても広い。
田原秀雄 / 阿部サダヲ(あべさだを)
毎朝新聞政治部記者。
現在は防衛庁の、次期主力戦闘機の機種決定に関連する問題を取材中。
ジャーナリスト魂にあふれる人間。
新聞記者ならではの情報で、鋭い視点で壹岐らに迫る。
浜中紅子 / 天海祐希(あまみゆうき)
クラブ「ル・ボア」経営者の娘。
店でピアノの弾き語りをしている。
情報通で、商社の人間とも交流が深い。
兵頭とは以前からの顔なじみ。
鮫島辰三 / 遠藤憲一(えんどうけんいち)
東京商事航空機部長。
「航空機の東京商事」という実績を築いた人物である。
防衛庁の次期主力戦闘機には、グラント社のスーパードラゴンを推している。
目的のためには手段を選ばない男で、別名「空のギャング」。

大門一三 / 原田芳雄(はらだよしお)
近畿商事代表取締役社長。
開拓精神旺盛で、大局を見極め大胆な施策を打ち出すトップらしさ溢れる人物。
近畿商事の国際化にあたって、壹岐の情報収集力や状況分析力に目をつけ、近畿商事で働かないかと誘う。
里井達也 / 岸部一徳(きしべいっとく)
近畿商事東京支社長。
鉄鋼や航空機を扱う東京支社のトップ。防衛庁の次期主力戦闘機受注を獲得するために、防衛庁の中枢と太いパイプを持つ壹岐を航空機部に異動させればよいと提案する。防衛庁の次期主力戦闘機にラッキード社のF104を推している。
松本晴彦 / 斉木しげる(さいきしげる)

小出宏 / 松重豊(まつしげゆたか)
近畿商事東京支社航空機部に勤務。
防衛庁の次期主力戦闘機受注のために、川又の部下である芦田に接触。
かつては防衛庁の防衛部調査課班長であったが、近畿商事に機密情報を漏らしたことが発覚しかけたのをきっかけに近畿商事に入社という過去を持つ。
自分を拾ってくれた近畿商事に恩義を感じて、実績を挙げようとしている。
海部要 / 梶原善(かじはらぜん)

塙四郎 / 袴田吉彦(はかまだよしひこ)


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