不毛地帯
[第8話]
12/03放送

欧米からの圧力もあり、いよいよ日本には資本自由化の波がやってきた。国に手厚く保護されていた国内の自動車産業は再編成を余儀なくされる。

そんな中、アメリカのフォーク社会長(アレキサンダー・バリ)が来日するが、歓迎レセプションを行ったのは東京商事で、近畿商事は近寄ることすらできなかった。

フォーク会長に面会もできなかった近畿商事社長・大門(原田芳雄)は、副社長・里井(岸部一徳)と壹岐を呼ぶと失態を責めた。さらに、この席で「千代田自動車の経営立て直し問題」が出る。里井は、業界4位・千代田自動車と、業界5位の富国自動車を合併させたかったが、壱岐は千代田自動車独自の再生を主張し、またもや2人は対立する。

壹岐は通産大臣・久松(伊東四朗)を訪ねた。久松は、「フォークの来日目的は資本の自由化要求である」と壱岐に告げた。それに対して政府の政策は「外資との合弁会社のみ認める方針」と伝える。さらに、通産省では千代田自動車と富国自動車の合併については実現化すると考えているらしい。壹岐は、なんとか久松の力で千代田自動車と富国自動車との合併話を少しでも引きのばしてほしいと頼む。

その夜、シベリア長期抑留者の会を主宰している谷川(橋爪功)がやってくる。機関紙10周年の湯呑みを持ってきてくれたのだ。壱岐の妻・佳子(和久井映見)は、「帰ってこられなかった抑留者の家族のことを思うと、いまの自分は幸せ」と谷川に話す…。

谷川が帰った後、壹岐はアメリカに出張することを伝える。さらに、日豪経済委員会のパーティーに一緒に出席するように言った。

ある日、別の日、千代田自動車の技術担当常務・小牧(小野武彦)が壹岐の元を頼ってきた。小牧は千代田自動車の合併を望んでおらず、合併の道を模索する営業部門と対立していた。そんななか、ジャカルタで進めていたトラックの組み立て工場建設計画が営業部に阻止されてしまったのだという。「力を貸してほしい」と頼まれた壱岐は、さっそく兵頭(竹野内豊)らに情報収集にあたらせる。

インドネシアに調査で行っていた兵頭から連絡が入る。紅子(天海祐希)の夫・黄(石橋蓮司)のコネで、インドネシア陸軍にトラックを売り込める可能性があるというのだ。

その日は、日豪経済委員会オーストラリア・ミッションの歓迎パーティーだった。壹岐は佳子を伴いパーティ−へ出席した。

パーティーなか、壹岐が庭園に行くと、そこに鮫島が近づいてきて、突然、千代田自動車の話を始める。するとそこに里井が…。里井が来たところで、鮫島は、壱岐が千代田自動車の件で、陰でこそこそと動いていることを暴露する。それを聞いた里井は激しい剣幕で怒鳴りまくった。

そこに大門がやってくる。大事なパーティーで醜い内輪もめをさらす2人を叱りつけるが、里井も壱岐も、それぞれの主張を曲げようとはしなかった。それを聞いていた大門は、「千代田自動車の件は経営会議で議論すればいい」と静かに告げた。

パーティーから帰宅した佳子は、谷川から手紙が届いていることに気づく。それは、壱岐が大変世話になった元陸軍将校・竹村(中丸新将)の入院を知らせるものだった。すぐに病院に電話をすると、その電話に出たのは千里(小雪)だった。

翌日、壹岐と佳子は、竹村の入院する病院で待ち合わせをした。ところが壹岐は、1時間も早く病院に来ていたらしい。かすかに不安を覚える桂子。そんな桂子に竹村は、千里が婚約したことを伝えた。

病室を出ると、佳子は家に電話をしにいくと、壱岐たちから離れる。その間、壹岐と千里は2人で話してきた。壹岐は千里に、「アメリカ出張の際、仕事の参考になるものを買ってきましょうか」と言うと、千里はといってその場を離れた。その間、壹岐と千里は、ロビーのソファーに座って話をしていた。壹岐は、アメリカ出張の際、仕事の参考になるものを買ってきましょうか、と千里に尋ねる。すると千里は「メトロポリタン美術館の絵葉書がほしいです」と答えた。電話がかけられなくて早く戻ってきた千里は、そんな2人の様子を少し離れたところで見つめていた。

病院からの帰り、桂子はずっと黙っていた。「何か冷たいものでも飲んでいくか」と声をかける壹岐に、桂子は千里がいることを知っていたのかと尋ねた。病院に早く着いたのも、千里に会ったのも「すべて偶然」と答える壱岐。しかし桂子は黙ったままだった。

そのまま2人は別れるが、壱岐は桂子の様子が気になり、横断歩道を渡ろうとしていた桂子を呼び止めるが…。彼女が歩くのを止めて振り返ったそのとき、彼女は車に轢かれてしまう。すぐに救急車で病院に運ばれるが、桂子は亡くなってしまう。

事故から1週間後。誠は、下宿生活を送っている仙台に戻る。家を出る前、佳子の遺影を見つめていた誠は、「お母さん、幸せだったのかな?」とポツリとつぶやいた。

桂子の葬儀が終わると、壱岐は仕事に没頭した。そんな壱岐を気遣った大門は、「アメリカ近畿商事の社長をやってみてはどうか」と話をする。

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キャスト
壹岐正 / 唐沢寿明(からさわとしあき)
1912年生まれ。陸軍大学校を首席で卒業したエリート軍人である。
第二次大戦中は、軍の最高統帥機関だった大本営の参謀として作戦立案をしていた。
終戦を受け入れない関東軍を説得するため、停戦命令書を携えて満州に向かう先でソ連軍に拘束された。
その後軍事裁判で強制労働25年の刑を宣告、シベリア極北の流刑地ラゾに送られた。
11年間に及ぶ強制労働に耐え昭和31年に帰国。
帰国後近畿商事に入社。
兵頭信一良 / 竹野内豊(たけのうちゆたか)
近畿商事東京支社鉄鋼部勤務。
陸軍士官学校の壹岐の後輩にあたる。
近畿商事の将来を世界的な視点でとらえている。
商社の世界に戸惑う壹岐の、良き理解者となる。
壹岐佳子 / 和久井映見(わくいえみ)
壹岐正の妻。
壹岐の陸軍大学校時代の担当教官であった坂野の娘である。
壹岐のシベリア抑留中は女手ひとつで二人の子供を育てた。
大阪府庁で働いている。
壹岐直子 / 多部未華子(たべみかこ)
壹岐の娘。
佳子の苦労を目の当たりにしてきたため、壹岐に二度と戦争には関わらないでほしい、と懇願した。
父の商社就職を心から喜んでいる。
川又伊佐雄 / 柳葉敏郎(やなぎばとしろう)
防衛庁の空将補で、噂によると次期空幕長らしい。
自衛隊のあり方に疑問を抱いているので、自分が空幕長になって、自衛隊を国民に認められるものに変えたいと考えている。
壹岐とは陸軍士官学校時代からの同期で、親友。壹岐がシベリアに抑留されている間は佳子に仕事を紹介するなど、壹岐家を支えた。

貝塚道生 / 段田安則(だんたやすのり)
防衛庁官房長。
警察出身の元内務省役員。鮫島と手を結び、防衛庁の次期主力戦闘機にグラント社のスーパードラゴンを採用するよう総理派に働きかけている。
芦田国雄 / 古田新太(ふるたあらた)
川又の部下。防衛部の防衛課計画班長。
小出とは防衛庁空幕時代の同僚である。
金と女に目がないが、気の弱い臆病な男。
谷川正治 / 橋爪功(はしづめいさお)
満州関東軍の幕僚。
壹岐ともどもシベリアに送還。
帰国後は、シベリア帰還者と遺族のための組織「朔風会」運営。
竹村勝 / 中丸新将(なかまるしんしょう)

秋津紀武 / 中村敦夫(なかむらあつお)
大陸鉄道司令官、中将。
壹岐とはシベリア抑留中にハバロフスクで再会した。
極東軍事裁判に、ソ連側の証人として出廷することを強要され、一度はそれを受け入れた。

秋津精輝 / 佐々木蔵之介(ささきくらのすけ)
秋津中将の息子で、千里の兄。
フィリピンで終戦を迎えた。多くの部下を死なせてしまったことに大きな責任を感じ、仏門に入って厳しい修業をしている。
秋津千里 / 小雪(こゆき)
大陸鉄道司令官・秋津中将の娘。
京都に住んでいる。夢は陶芸家である。
壹岐に「父の最期について話を聞かせてほしい」と手紙を送る。
亡き父の面影を感じさせる壹岐に心を惹かれる。
久松清蔵 / 伊東四朗(いとうしろう)
経済企画庁長官。
国防会議のメンバー。国防会議では防衛庁の次期主力戦闘機を決定する。
壹岐とは、戦時中に早期和平工作について議論しあった仲で、旧知の間柄である。
政界や官僚とのつながりがとても広い。
田原秀雄 / 阿部サダヲ(あべさだを)
毎朝新聞政治部記者。
現在は防衛庁の、次期主力戦闘機の機種決定に関連する問題を取材中。
ジャーナリスト魂にあふれる人間。
新聞記者ならではの情報で、鋭い視点で壹岐らに迫る。
浜中紅子 / 天海祐希(あまみゆうき)
クラブ「ル・ボア」経営者の娘。
店でピアノの弾き語りをしている。
情報通で、商社の人間とも交流が深い。
兵頭とは以前からの顔なじみ。
鮫島辰三 / 遠藤憲一(えんどうけんいち)
東京商事航空機部長。
「航空機の東京商事」という実績を築いた人物である。
防衛庁の次期主力戦闘機には、グラント社のスーパードラゴンを推している。
目的のためには手段を選ばない男で、別名「空のギャング」。

大門一三 / 原田芳雄(はらだよしお)
近畿商事代表取締役社長。
開拓精神旺盛で、大局を見極め大胆な施策を打ち出すトップらしさ溢れる人物。
近畿商事の国際化にあたって、壹岐の情報収集力や状況分析力に目をつけ、近畿商事で働かないかと誘う。
里井達也 / 岸部一徳(きしべいっとく)
近畿商事東京支社長。
鉄鋼や航空機を扱う東京支社のトップ。防衛庁の次期主力戦闘機受注を獲得するために、防衛庁の中枢と太いパイプを持つ壹岐を航空機部に異動させればよいと提案する。防衛庁の次期主力戦闘機にラッキード社のF104を推している。
松本晴彦 / 斉木しげる(さいきしげる)

小出宏 / 松重豊(まつしげゆたか)
近畿商事東京支社航空機部に勤務。
防衛庁の次期主力戦闘機受注のために、川又の部下である芦田に接触。
かつては防衛庁の防衛部調査課班長であったが、近畿商事に機密情報を漏らしたことが発覚しかけたのをきっかけに近畿商事に入社という過去を持つ。
自分を拾ってくれた近畿商事に恩義を感じて、実績を挙げようとしている。
海部要 / 梶原善(かじはらぜん)

塙四郎 / 袴田吉彦(はかまだよしひこ)


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