不毛地帯
[第16話]
壹岐（唐沢寿明）と兵頭（竹野内豊）はイラン・サルベスタン鉱区の石油開発に関する国際入札で、日本石油公社グループから離脱、米国のオリオン・オイルと組むことを決める。02/18放送
近畿商事社長・大門（原田芳雄）と壹岐は自由党幹事長の田淵（江守徹）の元を訪問し、援護してほしいと頼んだ。
ちょうどその頃からマスコミでは近畿商事を批判する記事が流れる。日本石油公社グループからの離脱が国益に反するというのだ。近畿商事への世論の非難が高まる中、取引先から「オリオン・オイルと組むなら取引を白紙にする」という電話が殺到する。
ある日、元近畿商事社員・小出（松重豊）が壹岐の前に現れる。小出は近畿商事が日本石油公社グループに戻れるよう仲介してくれるという大物総会屋・林田（梅野泰靖）を紹介した。壹岐は林田を訪ねるが、結局、彼の力を借りようとしなかった。
近畿商事への世論の批判はさらに高まっていた。「壹岐がソ連と密接な関係にある」という怪文書まで出回った。
韓国の光星物産・会長李錫源（榎木孝明）が電話で壹岐に面会を求めてきた。今、京都に滞在しているそうなのだ。壹岐は李に会うため京都へ向かう。李は壹岐が国際入札の件で激しいバッシングを受けていることを心配していた。そこで、李は壹岐にプラスになりそうな情報を伝えようとしたのだ。それはイラン国王に対して非常に影響力がある医師の存在だった。
李の情報にあった医師が判明する。イラン国王側近のフォルジという医師らしい。
紅子が帰国中だと知った壹岐は、クラブ『ル・ボア』で彼女に会った。そこで壹岐は、近畿商事とドクター・フォルジの仲介をしてもらえるよう「イラン前王妃に頼んでほしい」と紅子に依頼する。
紅子は見返りとして、その前王妃も出資者に名を連ねるスイスの観光事業を近畿商事の海外支店がバックアップすることを要求した。
鮫島はサルベスタン鉱区に関する各社の入札予想価格を入手していた。資料によれば、1位・西ドイツ・デミネックス社、2位・日本石油公社グループ、３位・近畿商事・オリオン・オイルだった。鮫島はサルベスタン鉱区を落札するために、五菱商事専務・神尾（名高達男）に佐橋総理へ面会するよう依頼する。鮫島は大企業のトップをイランに派遣しようと考えていた。
兵頭は、紅子からイラン前王妃が書いたフォルジへの親書を受け取った。それを携えてフォルジの家を訪れるが、｢フォルジは誰にも会わない｣と言われてしまう。紅子によれば、フォルジは火曜日の夜だけ王宮を出て家で過ごすのだという。それを聞いた兵頭は、ただちにテヘランに向かい、フォルジの家を訪れた。結局、兵頭はフォルジと会うことができなかった。兵頭は家の中にも聞こえるような大声で石油開発への思いを叫ぶ…。
鮫島が関与する日本石油公社グループがイランに大企業のトップを送り込むという情報は兵頭の耳にも入った。焦る兵頭…。そんななか、オリオン・オイル社からの兵頭宛に封筒が届く。そこには“座席指定の映画のチケット1枚”入っていた。
兵頭が映画館で指定された席に座っていると、フォルジの執事が「フォルジが会ってもいい」と声をかけてきた。ただし条件が…。その条件とは、石油開発プロジェクトのトップである壹岐を連れてモスクワに来ることだったのだ。
その話を聞いた壹岐は硬直する。シベリア抑留が蘇ってきたのだ。壹岐は「モスクワへは行かない」という。しかし兵頭には理解できない。
しかし壹岐はモスクワへ行く覚悟を決めた。
壹岐は谷川（橋爪功）の元を訪ねるとモスクワに行くことになったことを告げる。谷川は国益のためならやり抜くべきだと励ました。さらに元シベリア抑留者がモスクワを訪れれば監視がつくだろうといい、身辺に気をつけるよう助言する。
鮫島たちが日本のトップ企業を引き連れてイランを訪問していること、壹岐と兵頭はモスクワに旅立った。
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第1話
1912年生まれ。陸軍大学校を首席で卒業したエリート軍人である。
第二次大戦中は、軍の最高統帥機関だった大本営の参謀として作戦立案をしていた。
終戦を受け入れない関東軍を説得するため、停戦命令書を携えて満州に向かう先でソ連軍に拘束された。
その後軍事裁判で強制労働25年の刑を宣告、シベリア極北の流刑地ラゾに送られた。
11年間に及ぶ強制労働に耐え昭和31年に帰国。
帰国後近畿商事に入社。
近畿商事東京支社鉄鋼部勤務。
陸軍士官学校の壹岐の後輩にあたる。
近畿商事の将来を世界的な視点でとらえている。
商社の世界に戸惑う壹岐の、良き理解者となる。
壹岐正の妻。
壹岐の陸軍大学校時代の担当教官であった坂野の娘である。
壹岐のシベリア抑留中は女手ひとつで二人の子供を育てた。
大阪府庁で働いている。
壹岐の娘。
佳子の苦労を目の当たりにしてきたため、壹岐に二度と戦争には関わらないでほしい、と懇願した。
父の商社就職を心から喜んでいる。
防衛庁の空将補で、噂によると次期空幕長らしい。
自衛隊のあり方に疑問を抱いているので、自分が空幕長になって、自衛隊を国民に認められるものに変えたいと考えている。
壹岐とは陸軍士官学校時代からの同期で、親友。壹岐がシベリアに抑留されている間は佳子に仕事を紹介するなど、壹岐家を支えた。
防衛庁官房長。
警察出身の元内務省役員。鮫島と手を結び、防衛庁の次期主力戦闘機にグラント社のスーパードラゴンを採用するよう総理派に働きかけている。
川又の部下。防衛部の防衛課計画班長。
小出とは防衛庁空幕時代の同僚である。
金と女に目がないが、気の弱い臆病な男。
満州関東軍の幕僚。
壹岐ともどもシベリアに送還。
帰国後は、シベリア帰還者と遺族のための組織「朔風会」運営。
大陸鉄道司令官、中将。
壹岐とはシベリア抑留中にハバロフスクで再会した。
極東軍事裁判に、ソ連側の証人として出廷することを強要され、一度はそれを受け入れた。
秋津中将の息子で、千里の兄。
フィリピンで終戦を迎えた。多くの部下を死なせてしまったことに大きな責任を感じ、仏門に入って厳しい修業をしている。
大陸鉄道司令官･秋津中将の娘。
京都に住んでいる。夢は陶芸家である。
壹岐に｢父の最期について話を聞かせてほしい｣と手紙を送る。
亡き父の面影を感じさせる壹岐に心を惹かれる。
経済企画庁長官。
国防会議のメンバー。国防会議では防衛庁の次期主力戦闘機を決定する。
壹岐とは、戦時中に早期和平工作について議論しあった仲で、旧知の間柄である。
政界や官僚とのつながりがとても広い。
毎朝新聞政治部記者。
現在は防衛庁の、次期主力戦闘機の機種決定に関連する問題を取材中。
ジャーナリスト魂にあふれる人間。
新聞記者ならではの情報で、鋭い視点で壹岐らに迫る。
クラブ「ル･ボア」経営者の娘。
店でピアノの弾き語りをしている。
情報通で、商社の人間とも交流が深い。
兵頭とは以前からの顔なじみ。
東京商事航空機部長。
「航空機の東京商事」という実績を築いた人物である。
防衛庁の次期主力戦闘機には、グラント社のスーパードラゴンを推している。
目的のためには手段を選ばない男で、別名「空のギャング」。
近畿商事代表取締役社長。
開拓精神旺盛で、大局を見極め大胆な施策を打ち出すトップらしさ溢れる人物。
近畿商事の国際化にあたって、壹岐の情報収集力や状況分析力に目をつけ、近畿商事で働かないかと誘う。
近畿商事東京支社長。
鉄鋼や航空機を扱う東京支社のトップ。防衛庁の次期主力戦闘機受注を獲得するために、防衛庁の中枢と太いパイプを持つ壹岐を航空機部に異動させればよいと提案する。防衛庁の次期主力戦闘機にラッキード社のF104を推している。
近畿商事東京支社航空機部に勤務。
防衛庁の次期主力戦闘機受注のために、川又の部下である芦田に接触。
かつては防衛庁の防衛部調査課班長であったが、近畿商事に機密情報を漏らしたことが発覚しかけたのをきっかけに近畿商事に入社という過去を持つ。
自分を拾ってくれた近畿商事に恩義を感じて、実績を挙げようとしている。
JASRAC許諾番号
6834131007Y41011
Blau
6834131007Y41011
