「モヤさま」の伊藤Pがゴールデン進出に対する本音をぶっちゃけた!
テレビ東の深夜番組を象徴するようなユルさが魅力ながら、2010年春よりゴールデン進出を果たした『モヤモヤさまぁ〜ず』。

さまぁ〜ずの二人と清楚系美人女子アナ・大江麻理子の3人が織り成すのほほんとした雰囲気、時折見せる大江麻理子へのセクハラ、他局では絶対流れない"ドイヒー"な映像を率先してOAするテレ東らしさが噛みあって、最高瞬間視聴率6.8%を記録したこともある。

"バラエティー7"と呼ばれるテレビ東24〜25時代の深夜番組の中でも頭一つ抜けて人気が高かった『モヤモヤさまぁ〜ず』だが、過去放送されたゴールデン特番では、8.3%・5.8%・3%とあまり芳しくない数字が続いていた。

そんな中で4月より本格的なゴールデン進出が発表され、視聴者は勿論制作者側からも嘆く声が続出したという編成について、番組にも度々登場するプロデューサー・伊藤隆行が、『Quick Japan』のインタビューでその真意を語っている。

同インタビューで、伊藤Pは「(ゴールデン進出の件は)去年の11月下旬に、新任の編成部長からチラッと言われた」が「これまでちゃんとお付き合いしたことなかったからてっきり冗談なんだろうなと」思っていたという。

しかし、「編成部長が真剣な目で『その枠は"モヤさま"なんだ』」と告げ、伊藤Pも思わず「えっ!?」となってしまった。
編成部長いわく「目先の数字ばかり気にしてる現状を変えたい」ことが『モヤさま』のゴールデン進出の理由だと語っていたそう。

この編成部長の決断に対して、伊藤Pは悩みに悩み、結論を出せぬまま年越しを迎えた。
伊藤P個人の考えでは、「"テレビ東"の"深夜"っていう、テレビ業界の隅っこのそのまた隅っこでやるのに相応しい番組」「自分の中では心のオアシス的なところもある」だと考えているため、どうしてもゴールデン進出は躊躇ってしまうとのこと。

あくまで伊藤Pは深夜に放送して、寝る前にひと笑い出来るような物をイメージしていた。その一方で「(テレビ東の)バラエティ番組が持っている質感っていうのを、もう少しゴールデンタイムの視聴者に知ってもらいたい思いもある」という想いも持っていたという。

正月、家族と過ごしている時、伊藤Pはこの件で苦悩していたが、妻や子供たちからはゴールデン進出を後押しするような発言を聞け、段々と肯定的な考えへと変化していった。

とはいえ、まだまだゴールデン進出への関門は多く待ち受けている。他の関係者・出演者へ事情を説明しなければならない。

まず番組スタッフ達にこの件を伝えたところ、「いやぁ、それはないっすよ」と一蹴。
それでも伊藤Pは「『モヤさま』をゴールデンで放送することは意味のあることなんだよ」と説明し、納得してもらったそうだ。

次にさまぁ〜ずの二人。さまぁ〜ずは躊躇うことなく、「伊藤くんがやるって言うなら、俺たちはやるよ」「確かに、もっと多くの人に観てもらってもいい番組だよね」と快諾してくれたようで、会社の後輩である大江麻理子との会議の方が難航したと明かした。

「私は絶対反対です」と断固拒否し、1日ではまとまらず、後日改めて話し合いの場を持ち、伊藤Pの想いを全てぶつけた。ようやく「わかりました。任せます」と大江麻理子も納得させることが出来たという。

ただし、制作者側が納得しても、視聴者はまだまだ納得していない部分が多い。
深夜帯で人気だった番組がゴールデン進出を果たすと、視聴率が伸び悩みあっさり打ち切りとなってしまうケースが多発しているからだ。

勿論、伊藤Pもそのことは百も承知。
むしろ、「そのままですね。どこも変えようがないですから(笑)」と強気の姿勢だ。
また、ゴールデン進出により番組予算は多少なりとも増加するが、「いままで"テレ東価格"と呼ばれる激安な値段でさまぁ〜ずさんにやってもらってたので、それを"普通"に戻すだけでなくなっちゃう」と裏事情もポロリ。
「『モヤさま』1回分の予算は、『イッテQ!』のサブ出し(番組内で再生されるVTR)1本以下」だという衝撃の秘話も明かしている。

他局で深夜番組のゴールデン進出が幾多も失敗していることについて伊藤Pは、
「本当はこんなことをやりたかったんだろうけど、実際は全然違う番組になってるとか。作ってる人たち自身も面白くないだろうなって思いますし、最初の志はどこに行っちゃったんだよって」と同じ立場として、視聴者と同じように嘆いている様子。

また、過去伊藤Pが担当し、ゴールデン進出を果たしている『やりすぎコージー』は現在も放送中だ。
「番組が根付かない枠で打席がくる。それが分かっていても覚悟してやるしかない」
戦場での爆死も覚悟で、番組作りに打ち込んでいる姿勢が感じられる。

伊藤Pはあくまでも、『モヤモヤさまぁ〜ず』のゴールデン進出を前向きに考えている。
同番組を"テレ東の看板バラエティー"に成長させるというのも、心の底からの本音だろう。

伊藤Pの生き様が投影された『モヤさま』の今後に期待したい。
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